2022年総括【音楽①】

ーーーMaison desも10年後にはタワマン

 

こんにちは。

2023年も3ヶ月目のこのタイミングで、2022年の総括をやろうというわけですけどね。

まずは音楽から。

いつもAppleMusicとボカコレを使っているので、2022年に聞いた音楽をアプリ別に振り返ります。

 

【凡例と注記】

・結構な分量になったので、こちらはAppleMusicの部のみの記事となります。ボカコレの部は次回です。

・「New Commer」は2022年にデビューしたアーティスト・リリースされた曲という意味ではなく、私自身が2022年に初めて聞いたアーティスト・楽曲を指します。

・「Yester Hits」も、私が2021年以前から知っているアーティストの作品という意味です。

YouTubeで合法的に視聴できるものにはYouTubeの、そうでないものにはAppleMusicのリンクを貼っています。よろしければご覧ください。

・「音楽をきく」の正しい表記は「聴く」ですが、小学校の先生が「『聴く』という字は『耳+(足す)目、心』なんですよ、人の話をきく時は『聞く』のではなく『聴』きましょう」とドヤ顔で話していて、まず「目」の上の十字になっている部分を「プラス」と捉えるところが寒いし、漢字の正しい成り立ちを無視した勝手な再解釈をしたり顔で子供に教えていることに対して違和感を覚え、それ以来「聴」の字を見るとなんとなく嫌な気持ちになるという経緯があり、この記事でも頑なに「聞く」で通しています。

A. AppleMusic

1. 邦楽

a. アーティスト

(1) New Commer

(A) 神聖かまってちゃん

名前だけ知っていてちゃんと聞いたことがなかったが、進撃の巨人のオープニングテーマをきっかけに深掘りしたら沼だった。

個人的に、僕の戦争は今までに聞いた主題歌の中で一番だと思った。作品の世界観を表すだけにとどまらず、地獄を極限まで増幅していて大好き。

進撃はアニメ派だからその後の展開を知らないんだけど、原作を最後まで読んだ友達が奥行きのない目をしていたので大体察した。ファイナルの前編は怖くてまだ見られていない。

僕の戦争を皮切りに児童カルテツン×デレの2枚をダウンロードしたがこれも最高だった。

最初はボーカルの狂ったテンションに衝撃を受けたが、めちゃくちゃに歌っても大崩れしない安定感と高い音楽性でアーティストとしての地位を確立しているのが伝わった。

一番好きな曲はトンネル。ノリツッコミするところが最高だし、不条理な短編小説みたいなテーマ性があり深い(トンネルだけに)。

(B) 鋭児

SpincoasterというYouTubeチャンネルで、ライブ映像を見て知ったアーティスト。スキンヘッドのやばそうなボーカルがやばいバイブスを醸していたので、これはと思ってAppleMusicでダウンロードした。

その時点でアップされている曲は全曲聞いたけど、全部刺さった。

地下のクラブで流れてそうな不健全な雰囲気と洗練されたメロディーが同居しており、背徳的な快感に浸れる。クラブには行ったことがないけど、ZionVRクラブだし天国へだって飛べる

(C) 羊文学

友達に勧められて聞いてみたらとてもよかった。

メンバーと年齢が近いと知ったからかもしれないけど、全ての曲がとても親密に感じられる。この曲を作る感性を知っているし、この曲が好きな人たちのこともよく知っている気がする。

『分断の世代における連帯意識〜羊文学から見る社会〜』とかいう論文が書けそう(書けない)

(D) さらさ

令和の宇多田ヒカルという異名のある女性アーティストはたくさんいそうだけど、この方もその一角をなしていると思う。クールでロマンチックで非常に良い。

休日に岩本町のあたりを散歩してるときにネイルの島を聞いたら、大変趣深かったので共有です。人がいないオフィス街の雰囲気にぴったり。

(2) Yester Hits

(A) TOOBOE

ファーストアルバムの千秋楽がリリースされてずっと聞いていた。ファーストアルバムのタイトルが「千秋楽」なの、キレキレだよね。

最初はjohnのファンだったのでTOOBOEの方はマークしていなかったけど、こちらはこちらで違う魅力がある。刺々しい曲が多いので、ボーカロイドが歌うと留保のないシビアな雰囲気になるところ、ご本人が歌うと声に複数の感情が乗り、解釈の余地が生まれている。どっちも好きなんですけどね。

秋にリリースされた錠剤も良かった。チェンソーマンのOPEDとそのアーティストの過去曲を集めたプレイリストを作ったので、2022年はjohnとTOOBOEをたくさん聞いた年だった。

(B) Eve

歌い手の頃から聞いていたんですけどね(古参アピ)、作曲を始めてからアニメの主題歌などで引っ張りだこの様子を見て、父兄の気持ちで涙を拭っている。

2022年の春頃にアヴァンのシングルがリリースされて、すぐあとにアルバムが出た。まずアヴァンが好きすぎてめちゃくちゃ聞いた。イントロの警報みたいなギターと、サビの「期待 後悔を」の「を」が「想いも声も」の「も」から1音下がるところが好き(ピンポイント)

廻人もよかった。呪術のオープニングで毎回飛ばさずに聞いてた廻廻奇譚はやはり最高だったし、暴徒退屈を再演しないでが好き。夜は仄かから遊生夢死の流れも刺さった。

そして最後にアヴァンでトドメ。2曲目でなく最後に持ってくる選択も大好きだし、これは2曲目じゃないかと思わせる曲がアルバムの中に2曲あることがすごい。

音域が広すぎて高い音で歌っても全然つらそうに聞こえないけど、自分で作曲した曲だとそれが良い方向へ作用していて素晴らしい。音域目一杯使って表現が豊かなのはもちろん、正確で無機質な歌い方が曲の世界観の一部になっていると思う。

音域が広すぎるゆえに一般人がカラオケで歌えないのが玉に瑕。

b. アルバム/EP

(1) New Commer

(A) AINOU 中村佳穂

YouTubeでライブ映像を見て衝撃を受け、AppleMusicに直行した。

少し前からアルバム単位で曲を聞くようにしているんだけど、AINOUについてはそういう意識づけなしに気づいたら最後まで聞いている。

アルバム全体を好きになると、曲をどの順番で並べてどういう風に聞かせるかという、アーティスト側の意図を正しく汲み取れたことに対する喜びがある。曲単体を好きになった時よりも、アーティストに近づけた気がして嬉しい。

〈通しで聞きたいアルバム名簿 最終更新:2023.1.8〉

 ・YANKEE 米津玄師

 ・Vows Kimbra

 ・PASSION BLUE 土岐麻子

 ・vivid kiki vivi lily

 ・Fine Line ハリースタイルズ

 ・ゴーストアルバム Tempalay

 ・3 KIRINJI

 ・cherish KIRINJI

 ・愛をあるだけ、すべて KIRINJI

 ・平成 折坂悠太

 ・ジェニースター ジェニーハイ

 ・AINOU 中村佳穂

 ・心理 折坂悠太

 ・生活の礎 家主

 ・Cape God Allie X

 ・Conditions Of A Punk half・alive

(B) 生活の礎 家主

AppleMusicでエンドレス再生モードにしていたらお湯の中にナイフが流れてきて、速攻でアルバムごとダウンロードした。

音楽形態としてのバンドの傾向(方向性を一にした音楽好きフェローが集い、音楽って最高!!というパッションで世界を救う)にあまり共感できていないんだけど、家主は歌詞が孤独で後ろ向きで、それを救おうとしていないので笑顔で聞いてる。救う気がない曲に救われることもある。変わるために〜変わることをやめた〜〜

要所要所に出てくるコードが胸を抉る切なさ。お湯の中にナイフの「いつだって遠くに見えるはずのない」の「遠くに」のところとかやばい。

一番好きなのは茗荷谷。数ある街の中から茗荷谷をチョイスするんだもんなあ。

(C) 微笑 NIKO NIKO TAN TAN

不思議アルバム。高次元すぎて理解が追いつかない。

パラサイトとか祭囃子鳴っているわとか冒頭から不安になるけど、サビまでにきっちり伏線回収してくれるので安心する。緊張と緩和の繰り返しでなんとなく最後まで聞いてしまう。

コンフィデンスコンフィデンスコンコンフィデンスフィデンス…

(D) Let's Go! DSDC! Deep Sea Diving Club

5曲目のFLACTALがめちゃくちゃ好き。サビが切なすぎる。

他の曲でフィーチャリングが豪華なのも嬉しい。Rin音やキキビビちゃんの歌をここで聞けるとは思わなかった。

(2) Yester Hits

(A) 心理 折坂悠太

平成とは別ベクトルで好きなアルバム。

アルバム全体を咀嚼しきるまでに時間を要したが、聞き続けたら馴染んだ。

アップテンポで不穏な曲が好きなので荼毘が好きなのは当然として、その他の曲も徐々に耳に馴染むのはどうしてなのか、我々はその謎を解明するため、アマゾンの奥地へと(略)

折坂悠太の曲には、自分の一部と呼応するような親密さを感じる。民謡っぽいメロディーとリズムが、日本人のDNAに訴えてくるのかもしれない。細胞レベルで掴まれていると思うと冷静に怖い。

(B) ざわめき 折坂悠太

一番好きなのは呼び名だけど、芍薬の終わりからの入りとか、口無しでクールダウンするところとか、ざわめきのエンドロール感も好きだな。

会社で華道部に入っていて、気が向くと参加して花を持ち帰って家で生け直すんだけど、芍薬を持ち帰った日に脳内常駐の折坂悠太が「ッ芍薬芍薬ッ夏の雲はシャクヤーク!!!」と叫び始めて面白くなってしまい、それから家で花を生ける時はこのEPをBGMにしている。

5曲で20分なので移動中に聞くには短いが、花を生けるにはちょうどいい長さ。

(C) THE BAND OF 20TH CENTURY: Nippon Columbia Years 1991-2001 ピチカート・ファイヴ

東京は夜の七時だけ知っていて他の曲も気になっていたが、なかなか聞けていなかった。聞く前から好きなことがわかっていると、買った本みたいに後回しにしがち。

日本コロムビアの親会社が運営するBAROOMという施設で、このアルバムのドーナツ盤を聞くイベントがあると知り、思いきってチケットを取った。イベントまでの2週間、体育会系と見紛うばかりのストイックさでアルバムを聞き込んだ。

予想どおり全部好きだったけど、三月生まれトウキョウ・モナムール大都会交響楽が特に好き。

イベントは渋谷系リアル世代の先輩方が大半だったので完全アウェイだったけど、大音量で曲が聞けて楽しかった。

参加者のリクエストした曲を流していく形式だったので、アメリカではをリクエストしようかと思ったが、野宮真貴さんガチ勢の諸先輩方に刺されそうなのでやめた。

(D) LENS Kroi

1曲目だけうっすら知ってて、どんなものかとダウンロードした。

快活な曲と伸びたトドみたいな曲が良いバランスで配置されており、ずっと聞いていられる。

一番好きなのは8曲目の侵攻(伸びたトド枠)

c. 曲

(1) New Commer

(A) New World Believer 鯱

前述の鋭児のボーカルがやっている別ユニット。

始まり方がかっこ良すぎだし、最初から最後まで置くだけファルセット(?)で通すところも好き。

なんといってもあの切ないコード進行。このループの中に住みたい。

(B) さよならクレール 中村佳穂

不思議な曲だけどスケールが大きくて聞き応えがある。

中村佳穂ちゃんが中村佳穂ちゃんというアーティストになってくれたことに対して毎日感謝している。これだけのグルーブ感があれば第二のEGO-WRAPPIN’になれただろうし、これだけの歌唱力があれば第二のMISIAになれただろうし、この歌声があれば大衆向けのポップソングでもうまく歌えるのに、その全ての可能性を捨てて中村佳穂というニュージャンルを築いていることが尊い

(C) Q-vism Who-ya Extended

PSYCHO-PASS3期のオープニングがかっこ良くて覚えていたが、AppleMusicで再会してたくさん聞いた。

刻んで歌うところと、インパクト遅めに伸びやかに歌うところのギャップがいい。

(D) escape ましのみ

一時期こればっかり聞いてた。

感情は最小限で理性的に刻んで歌うかんじがいい。

「ひ え て く 心の言葉」のところが好きすぎる。

(E) Cynical City 新東京

サビまでの小難しいかんじと、サビの明快さのコントラストが良い。

ボーカルの声がフィナンシェ並みにしっとりしていて、全体に上品さがある。

(F) 物凄いヴァイブスで魔理沙が物凄いラップ - MASPA!! Remix 魂音泉

元ネタを知らないままリミックスを好きになりがち。

東方の知識がまったくないので元ネタがなんなのか調べたけど、よくわからなかった。よくわからないけど、とにかく気持ちがブチ上がるので好き。

(G) 夢で逢えたら 吉田美奈子

AppleMusicで大貫妙子さんを起点にエンドレス再生していたら流れてきた。真っ直ぐシンプルに歌うだけで胸を打つ作品になるのがすごい。歌が上手いってこういうことだなと、じわじわ感嘆した。

(2) Yester Hits

(A) VIRTUAL DANCER ODD Foot Works

FIVE NEW OLDのToo Much Is Never Enoughという、聞くだけで夏の海へドライブに行く幻覚が見える爽やかなアルバムがあるんだけど、ODD Foot WorksがフィーチャリングのLibertyという曲だけが異彩を放っており(1曲だけ夜のライブハウスで聞きたいアダルティな雰囲気)、ずっと気になっていた。VIRTUAL DANCERを聞いて、夜のライブハウスどころか宇宙へトリップしてしまった。

ヒップホップ初心者も踊り出すメロディアスなラップが良い。繊細で切ないリフも良い。全部いい。

(B) KICKBACK 米津玄師

チェンソーマンアニメ、話は面白いしオープニングは米津玄師だしエンディングは好きなアーティストが週替わりで出てきて幸せが致死量だった。

こんなに悪そうに歌う米津さんは初めてだったので、目を瞑って頷きながらゆっくりサムズアップした。

爱丽丝」以来の常田大希様とのコラボということで、再びの神々の共演という事象にも沸いた。どこでもない場所からお届けの米津玄師ワールドもいいけど、常田様が加わることで曲が一気にアーバンになっていいですね。

(C) もっと泣いてよフラッパー 吉田日出子

少し前に上海バンスキングのベストCDをエンドレスリピートしていたんだけど、自由劇場の団員が演奏して吉田日出子さんが歌っている作品が他にもあると知り、大喜びでこのアルバムをダウンロードした。

アルバムとしては上海バンスキングの方が好きだけど、表題曲はフラッパーが好き。1920年アメリカ、美と退廃、狂乱と虚無感を鮮やかに表現する歌詞と、金管の艶やかさに痺れます。

自由劇場の舞台をリアルで見られなかったことが地獄の果てまで悔やまれる。

(D) ドーパミン ゲスの極み乙女

狂ったように何度も聞いた。

2周目の「イェイェイイェイイェイイェイイェイ」のところのハモリが美しすぎて鳥肌立つ。

川谷絵音の曲を歌う女性ボーカルって、感情を排除して決められた音に正確に当てにいく歌い方をしてる気がする。

表現したい音像が繊細すぎて、感情乗せてたら追いつかないからそういうディレクションなのかな、などと憶測は止まらないが、いつもそれで曲がまとまっているので素晴らしい。

(E) 残機 ずっと真夜中でいいのに。

ずっと真夜中でいいのに、久しぶりに聞いたら良かった。

大好きなボカロPのぬゆり様が、最初の秒針を噛むで編曲を担当されていたので勝手にレギュラーメンバーだと思っていたが、初期の数曲を除いて編曲は100回嘔吐さんが主でやっているんですね。

残機を含め過去曲を聞き返してみたところ、確かにこれはぬゆり様ではないなと思った。100回嘔吐さんはマイナスの感情を泣き笑いしながらライトに受け止めるみたいな曲が多いけど、ぬゆり様はマイナスの感情を地獄の果てまで追いかけて釜の中でぐらぐら煮立たせてから曲にしてるかんじがあるので(?)

ZTMYは100%ハッピーな曲があまりないところが好きだけど、100回嘔吐さんは悲しみの要素を軽妙でキャッチーな表現にしてくれるので、明るさと寂しさが絶妙なバランスで混在しており、それによって単純なポップソングになるのを回避していると思う。

今回もその辺が刺さってリピートした。ぬゆり様の、悲しみを鬱に倍々ゲームなアレンジも聞いてみたかったけど。

(F) 消灯時間 Füga-Füca

一昨年くらいにYouTubeA.R.Tを聞いて追いかけているアーティスト。声とメロディーが一度聞いたら忘れられない。

イントロと間奏の転調が好きだな。えっ下がるんだ!?という。

(G) たまらない予感 奇妙礼太郎

2018年秋、エロい関係を聞いて好きになったアーティスト。

〜茜さす帰路、民家から夕餉の香り〜的な曲調に、今っぽい恋愛の歌詞が乗るギャップがよい。

(H) CHAINSAW BLOOD Vaundy

周知の事実だけどVaundyは天才。作曲の幅が広すぎでは?毎回別人なので聞くたび誰?ってなる。

この曲でも新しい側面を見た。ゴリゴリのラウドロックっぽいAメロBメロと、ぎりぎりポップに繋ぎとめるサビと、VaundyをVaundyたらしめる美しいファルセットが絶妙なバランスで共存しており、色々な表現をしつつも自分の世界観を見失わないところがすごい。

(I) POP SONG 米津玄師

米津さんが新境地を開きすぎてて頭が追いつかない。

もう一人ですべての音楽ジャンルと歌唱法をカバーしてるんじゃないかと思うほど曲が多彩で困る(大歓喜)。

30代に入り、アーティストとしても絶大な成功を収めているのに、丸くなるどころか「POP SONG」というタイトルで捻くれ散らかした曲を書いてるの、本当に最高だな。

(J) Butterflies WONK

何年か前にCyberspace Loveを聞いてから気になっていた。改めて検索したらこの曲がヒットして、がっちり捕まってしまった。

一本の映画を見ているような重厚感。光の方を向きながら逆方向に抗い難く落ちていくみたいな救いのなさを感じた。

繊細な世界観の表現を可能にしている高度な技術に乾杯。

(K) Princess majiko

歌い手活動がメインだった時は無名でも噛み締めがいのある曲を選曲されていて独自の視点を感じたし、デビューしてからのオリジナル曲にも独特の世界観があり、昔も今も目指すものが明確にあるんだろうなと思う。

そして歌が上手すぎる。

この1曲の中だけでも色々な歌い方をされているので、改めて表現の幅の広さに感動した。

(L) 極楽鳥のテーマ (Bird Of Paradise) 中原めいこ

たまにエキゾチック全振りな癖の強い歌謡曲が聞きたくなる。

この人は歌は上手いし作曲も作詞も自分でしていて、しかも容姿端麗でアイドル的な魅力もあり、全方位で天才。

君たちキウイパパイアマンゴーだねほどのパンチはないけど、この曲はエキゾチックさと上品さが両立していて好き。

(M) 摩天楼 iri

2021年リリースので大好きになり、気づいたときにチェックしている。

おしゃれ系ヒップホップの戦国時代だけど、iriちゃんはいつも他と一線を画している。女性としては低い音域なので、お腹の方まで響いてくる音を聞き取っているような感覚があり、いつ聞いても新鮮。

2. 洋楽・その他

a. アーティスト

(1) New Commer

(A) 甜約翰(Sweet John)

2020年にエレファントジムという中国のアーティストを知ってから、C-popアツいなって思ってる。

このアーティストはYouTube親吻了再摸索がおすすめで上がってきたお陰で知った。

雨の日の午後のような憂鬱さと、透明感のあるイノセントなメロディーが心を掴んで離さない〜

全曲素晴らしいが、一番好きなのはDear。冒頭のハーモニーが美しすぎて神が見えた。

(2) Yester Hits

該当なし

b. アルバム

(1) New Commer

(A) Cape God Allie X

2022年、個人的最大のヒット。

リナサワヤマの関連アーティストで出てきたので聞いてみたら、曲も歌も激やばだった。

(ⅰ) 総論

音楽でも映画でも本でも、ある程度知識を得た段階でジャンル分けできるようになり、冷静になるときがある。前は何を見ても新鮮に感じたのに、最近は「どっかでみたアレ」に遭遇することが増えて寂しい。

そういうわけで、これまで聞いたことないタイプの曲を見つけると身を乗り出すし、それが好みの曲なら泣いて喜ぶ。

Allie Xのこのアルバムは久しぶりに「聞いたことないけどめちゃくちゃ良い」ラベルに分類された。

Cape Godは17曲入ってるデラックス版と、ライブで歌った8曲を収録したデジタルコンサート版がある。片方にしか入っていない曲があるので両方聞くべき。

ライブ版では恐らくデラックス版と同じオケに乗せて歌っている。デラックス版は譜面どおりに正しく歌うかんじだけど、ライブ版は歌の熱量が高く、同じ曲でも結構差がある。まずはデラックス版を聞いて基礎固めをしたあと、ライブ版を聞くのがおすすめです。

(ⅱ) 各論

Fresh Laundry

1曲目にはアルバムの方向性を示唆する役割があるけど、この曲はその役割を超えて、むしろ撹乱しにかかっていて良い。

“I want to be near fresh laundry” という冒頭がもう半端ない。英語が得意でなくてもわかる平易な一文から、状況と心情の深刻さがひしひし感じられる。

解釈はそれぞれだと思うけど、混迷の中に安寧を見出しているかんじが不安すぎて、こちらの情緒も千々に乱れる。

Regulars

ベースのリズムが好きすぎる。

それと音域の広さが際立っている。ライブ版の低音の響かせ方がえぐい。

Sarah Come Home

めちゃくちゃ好き。明るいメロディーで気持ちが弛緩。

サビの後半で「Come home」を繰り返すところのオクターブユニゾンが美しい。

Bitch

英語ができないので洋楽の歌詞は諦めがちだけど、この曲は言葉が簡単なのでなんとなく理解。まず歌い方で色々察するよね。Boom Boom!

Rings a Bell

立ち上がり平和でBメロで光の方向へ助走するのに、サビで顔のない兵隊が行進を始めるので(幻覚)大喜びである。

June Gloom

他の曲の癖が強くてそこまで目立たないけど、繰り返し聞くと染み渡る。6月の穏やかで鬱々とした空気感が鮮明に伝わってくる。

Love Me Wrong

デラックス版のデュエットもいいけど、ライブ版の全部自分で歌ってる方も好きだな。こちらもライブ版の低音がえぐい。もはや人間ではなく楽器。

Super Duper Party People

このアルバムで一番好き。

歌だけじゃなくラップみたいなこともできるんだなって。

英語圏の人に言うことじゃないけど、発音が美しいなと思う。響きが素朴で上品なかんじがあって好き。

Susie Save Your Love

中盤で静かに存在感を放っていて好き。

Madame X

名曲。他の曲に比べて一般受けするように作られている気がするけど、そこをストリングスが掻き乱すので、聞きやすいのに聞き流せない緊張感が絶妙。

Cape God Theme

少年合唱団並みのイノセントな歌声で、Bitchのときと比べると別人。天使とか精霊とか神聖なものに対して抱くような、畏れの感情すら湧いてくる。

Milk

Cape God Themeとまったくスケール感が違うけど、近くに戻ってきてくれたみたいで安心する。

衒いのないメロディーがいいね。

Limited Love

15曲目でまだこんな元気な曲のストックがあるなんて。一枚のアルバムで情報量が多すぎる。

Anchor

どことなくエキゾチックで、最後から2番目の曲で新しい要素を出してくるところに持久力を感じる。

全体を通して飽きさせない作りになっており、何度も聞きたくなるアルバムです。

(B) Line by Line Prep

AppleMusicでエンドレス再生していたら流れてきて、声が魅力的だったのでダウンロードした。

全体的に80年代のシティポップみたいだな〜と思って聞いていたら、やっぱりシティポップ好きな人たちが作っていた。自分もNight Tempoのリミックスのお陰で80年代の邦楽に目覚めつつあるので、海外への逆輸入現象を目の当たりにして興味深い。

表題曲のLine By Lineのイントロを聞いて思ったけど、ユーミンの曲でも同じような音を使っていた気がする。「汀」ってかんじのファンファンした音が時を超えてチル。

(C) Spectral Sunshine Parade The Mirrors

レトロでかわいらしい。2.3曲目(Sunshine on a Rainy Day Mikimoto Pearls)は聞くだけで笑顔になる。

(2) Yester Hits

(A) The Juniper Songbook Summer Salt

一昨年、Happy Camperを聞いて好きになったアーティスト。このアルバムでアコースティックバージョンを聞いてさらに好きになった。

特にOh Dearはアコースティックの方が身近に感じられて好き。

気持ちが波立っている時も、これを聞けば地平線並みに平らかな心持ちになれる。

(B) Harry's House ハリースタイルズ

ハリースタイルズは2回前くらいのグラミーでWatermelon Sugarを聞いたのをきっかけに聞き始めた。イギリスのアイドルとしてしか認識していなかったけど、ただのアイドルじゃなかった。

一つ前のアルバム「Fine Line」は一曲一曲の粒立ちもさることながら、アルバムとしてまとめられたときに一つの大きな流れを形成していて、最後まで聞いたあとにまた1曲目から聞くことを促されるような力があった。体感100万回聞いた中で、ハリースタイルズがアーティストとして成功を収めた理由をしかと理解した。

そんなわけで次のアルバムを非常に楽しみにしていたので、Harry's Houseはリリース後すぐにダウンロードした。

コロナ禍で自分と向き合う時間をもって生まれたアルバムということで、前作よりも内省的でミニマルな印象。あまりにもポップでカームなおうち時間。アルバムタイトルに「House」とあるけど、家にいるときみたいにリラックスした印象を与えつつ、結果的にめちゃくちゃポップで広く世界中の人に受け入れられる曲を作れるのがすごい。ポップスターとはこの人のためにある言葉だと思う。

8曲目のCinemaが最高。

 

c. 曲

(1) New Commer

(A) Guardian Angel JUNO REACTOR

TEXHNOLYZEというアニメのオープニングテーマ。30年近く前の作品だけど、かっこ良すぎてアルバムごとダウンロードした。

インストは展開がないと寝てしまうものだが、この人の作品はメロディアスで劇的な展開が畳み掛けてくるので眠る暇もない。この曲では特に、すべての音が意味のある動きをして有機的に絡み合いながら、最終的に無機質な世界観を演出しているのが最高にクールですね。

アルバムを通して概ね新鮮に感じられるけど、5曲目に突然日本語でセリフが入るSamuraiという曲があって、こういうのを聞くと時代を感じる。ベストキッド2とかワイルドスピードTOKYO DRIFTとか、割と最近まで日本文化への誤った理解と偏った憧憬が欧米を席巻していた。

ベストキッド2で主人公が沖縄にやってきて、現地の日本人と真顔ででんでん太鼓を叩くシーンは一生忘れられない。

(B) American Boy エステル

10年以上前に流行った曲みたいだけど、全く知らなかった。

YouTubeが唐突におすすめしてきて、聞いてみたら最高だった。

R&Bもイギリス英語にかかればこんなに上品になるけど、それを切り裂くカニエウエスa.k.a. American Boyのラップがまた良い。

(C) hey girl boy pablo

神経が弛緩する作用がある。PVを含め癒されるのでおすすめ。

(D) Dancing with my phone HYBS

こちらはタイのアーティスト。T-POPもアツいわね。

これも80年代シティポップ的雰囲気があってちょっと懐かしいのに、音楽再生機としてのスマートフォンと一緒に踊るっていう歌なのが面白い。

音楽が世界的に懐古主義に走っているけど、スマホの汎用性からは誰も逃れられない。

(2) Yester Hits

該当なし

 

次回はボカロ回です。

それではまた。